Dr.Tommy

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「落差」

きみのストイックな感じが気持ちいい。
乱れる時には、まっさかさまに堕ちてゆく、
その潔い落差がきみの魅力、かけがえの無い。

「証し」

光の速度で彼方に瞬く星を見つめ、
はかない遥かな叙事詩に心遊ばせ、
太陽を眺める異界の知恵ある者と、
思いを重ねる。

連続する時空のすべてが私に宿る。

私は、主を、信じます。

教えてください。
わたしもまた、
ひとりの、死すべき神であると。
あなたを信じる、証しを下さい。
私たちの生命、私の自我の負荷、
そのものこそが、あなたの奇跡。

我らの生命はすべてみな、
そのものがゆえに証しであると。

「胎動」

鏡の上で刻まれるかぎろい、
勇気溶剤と龍との狭間で、
うつつを吹かす。
それは誰かの通った道、
ここは彼らの集う場所、
どこかへつながる橋は落ちて、
どこにも心なじめなかった。

繰り返す試みと失敗、
踏み固めた うたかたの年月、
虹の架かる太陽、
雲吹き抜ける星空、
クマある月の落ち口は、
黎明の大地 スタキアエク。

夜の深さを遊ぶ夢は終りに近く、
幕間ばかり 長くなる。

「荒れ地」

萌え出る全てに告げる
荒れ地をめざせ

野に咲く花のすべてを
荒れ地にかざせ

ポットのなかの夢幻に
荒れ地をながめ

切り取られた花壇の中
咲く都市の荒れ地には
緑が零れ葉に滴つたい
きらめく朝に荒廃隠す

感染を防ぐために
誰もが一石投じようと
日常の中で指先をさえ
見失ってゆく日めくりの荒れ地で

「動機」

争いの中でしか存在できない
個と複数形の渚
海は遠く潮騒の無音に現れる

暴力の時代
死をもって
敗北とする
嘆く者残し。

生きる限り
動ける限り
敗北は無い
けれど、
ささやかな秘密を教えてあげる。
最後の審判などはすべてが嘘で、
さきにゆくヒトなれば光の海で、
至福の時を数えながらきみを待つ。

「夜の贈り物」

海のような闇
闇のような海
雨を聞く寝屋
屋根を打つ雨

「バビロン」

紅の闇にさまよい、
誰かの体温を感じたくて、
きみのくちびるにキスした。

崩れ始めた塔のふちを滑り落ちながら、
きみの皮膚に色が変わってゆくのを、
必死で見ていた。
けれど、
私はもうきみが誰だか分からない。

世界中の言葉が壊れてしまった。
意味される全てが蒸発して、誰もいない。

薄らいでゆく、
星明かりに、
映るきみの名前さえ思い出せなくて、
泣いた。

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第47号 2001年11月21日発行


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