そほと

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【タイトル】
脱皮/濡れているのもうらやましい/春誕生/春は少しの風がほしい/ぜんそく/菜の花/レンガの螺旋階段/ねェ/前世の約束/マーマレードの夜/くちづけ/仕事/この木に/さようなら/サラサラ キラキラ/さくら湯/月/白く見えても/小指/月が傘をかぶると雨が降る/押し花/貝のペンダント/あわせてみる/ころころ/なみだの目/風に吹かれておりますよ/あなたよ/熱帯魚

「脱皮」

泣き出しそうな雲
カラスが捨てゼリフを吐いて
何処かへ消える
嗚咽を漏らしながら糸を引いてゆく水滴
冷たく突き放すトタン屋根
肩をふるわせころがり落ちてゆく
死にぞこないのコオロギ
十字架を背負ったコオロギに
口を開けるマンホール
暗黒の中の底知れぬ海
波打つうわばみの腹の中
エサを求める働き蜂の群れ
ヴームという羽音が
重なり合い ぶつかり合い
空間の一部を占領する
一本の枯れ木が
芽を吹き 葉を付け 造花を咲かせ
禁断の木の実をぶら下げる
冬眠から覚めたヘビが
食べろと言う
俺には
断る理由がない

何処かで
コヨーテの遠吠えがこだまする

けばけばしいトゲで
着飾ったサボテン
ざわざわと ゆれる

息が詰まる

意識らしきものが薄れてゆく

また遠くでコヨーテの

いや ちがう
人の声 歓喜の声 狂気の声

そして背後彼方で

さよならの 声

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第67号 2002年4月29日発行


「 濡れているのもうらやましい 」

風呂上りの濡れた髪

ショートカットの雫を

引力にゆだね



うつむく



うつむきながらも微笑む君に

明日の太陽が見え隠れ



菜の花  雨の中

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第66号 2002年4月20日発行


「 春誕生 」

春はまだ浅く

気の早い一叢のれんげは

まだ半透明の花

まだ半透明の茎の上で

気の早いひばりの歌を

やわやわと聞いている

ふっくらと緩んだ地面は

影も光も吸い込んで

次の色を創っている

春は何処からも来ず

ここで生まれていた

大地が大きく息をした

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第65号 2002年4月13日発行


「 春は少しの風がほしい 」

春は少しの風がほしい

ゆらいで届く太陽に

小さな花が あちこち勝手

口下手な私にも

聞いてやるよ と

わらって見える

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第64号 2002年4月7日発行


「ぜんそく」

おかあさんのためなら
がまんできます

がまん強いボクは
小児ぜんそくとたたかいます

でも
何度か負けそうになりました

おかあさんは
だまって背中を
さすってくれます

何も言えず背中を
さすってくれます

一度だけ
「たすけて」と言いました

一度だけ
「どうしようもないでしょ」
と言われました

どんなにおかあさんが
辛いのかわかりました

ボクは疲れ果て
息ができずに
気を失って眠るまで
がまんできます

おかあさんのためなら
がまんできます

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第63号 2002年3月30日発行


「 菜の花 」

あれっ

一人だ

菜の花の声

ふふっ

咲いちゃお

菜の花

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第62.5号 2002年3月24日発行


「レンガの螺旋階段」


降り出す雪のにおいが
朝の風に染みていた
さむさ坊主が肌に立ち
雪のにおいにふるえている


朝には土を埋め尽くし
夜はその下に眠る

眠れる夜のために
バベルの塔より高く
螺旋階段をつくってやりたい
レンガを積んで
つくってやりたい


朝には昨日の雪を埋め尽くし
夜はその下に眠る

眠れる夜のために
花を飾ってやりたい
あなたの好きだった
むらさき色の花を
枯れ枝のようだったその腕に
抱えきれないほど


朝には昨日の雪を埋め尽くし
夜はその下に眠る

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第61号 2002年3月9日発行


「ねェ」

なぜ 霜がおりるの?

月のうさぎの息が凍って

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第60号 2002年3月2日発行


「 前世の約束 」

一本の鞭毛が有れば

貴方を探し出せるさ

動力はゼンマイ

DNAとも言う

なりふり構わないのが良い所

しかもそれが全て

それで全て

今はまだ

人間の形をした体が

邪魔しているけどさ

「 マーマレードの夜 」

侘しい一人暮らしのアパートごと

揺らしているのは木枯らし

こんな夜はマーマレードの夜なのです

昔々母の作ってくれた

単純に夏みかんの皮を砂糖で煮ただけの

甘酸っぱくてにがいマーマレードの夜の中で

千切れた恋の糸達が

ひらひらするのです

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第59号 2002年2月23日発行


「くちづけ」

あなたのとばしたシャボン玉

そおっと

てのひらにとったら

きえました

あなたの

やわらかなくちびるに

そおっと

くちびるかさねたら


やはりあなたも

きえますか

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第58号 2002年2月16日発行


「 仕事 」

ヒビ割れたコンクリートの上を

歩く

靴は足底の型どおりに

窪み

満遍なく疲労が

淀む

地盤の所為だから

ヒビ割れは仕方ないとして

手の指に刺さったトゲと

スリキズ キリキズ ヒッカキキズ は

ささくれた心の実像

キズ付けられた心が

一番無難な仕返しの方法を取ったのだ

かくして

痒みに似た疼きを伴い

右足に虚無

左足のカオスが

交じり合う事も無く

同居する

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第57号 2002年2月9日発行


「冬景色」

「 たわむれる海風小僧と波の花 」

「 銀光が染みてや今朝の初氷 」

「 飛行機雲晴天真一文字也 」

「 願わくは音色もとどけ冬夜空 」

「 探してた昨夜の爪が空にいた 」

「 寒椿寂びれ不動と空の下 」

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第55号 2002年1月26日発行


「この木に」

この木に
毎年四季が訪れ
その都度
緑の葉っぱを
つけたり おとしたり
なんとも言い得ぬ匂いの花を
つけたり おとしたり
もう かれこれ数十年分は
コトバを蓄えてます

ねっ だから小鳥がやってきます
ねっ だから虫が冬眠します

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第54号 2002年1月19日発行


「さようなら」

一枚きりの写真

枯れ葉の下へ

そっと差し込む



「あの人を おねがい・・・」

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第53号 2002年1月12日発行


「サラサラ キラキラ」

スティックの頭をつまんで千切る

傾ける

濃いコーヒーを入れてみたんだ

今日 仕事無いから

貴方想って過ごす1日が

グラニュー糖でありますように

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第52号 2001年12月29日発行


「さくら湯」

私の特別な人は
さくら湯に特別な想いがあるらしく
厳かにその作業を終えた

私の特別な人は
幼い私と妹を
お行儀良くちゃぶ台に座らせると
うやうやしく運んできた硝子の小瓶から一つまみ
湯に沈めた
無言で見入る私たちに満足すると
静かにその世界へと入って行った

湯の中で
私の特別な人は私の知らない少女で
うすいピンクの花びら
ゆらゆらくるり と
動いていました

この不思議な今の後には
いつものように

毛糸を編むこの人の背に寄り掛かって
見る絵本をどれにしようかと
考えている私でした

私の特別な人は
おかあさんと言います

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第51号 2001年12月22日発行


「月」



死者の魂の
やすまる処

まだ生まれぬ
赤子等の住む処

いにしえの人々よ
あなた方が
霊的直感で知りえた事実を
退化した私は書物で知った

犬神の一族が
月に遠吠えするのも
私が心淋しい時
胸を突き破って
両腕を指し伸ばすのも
前世で縁の深かった
「いとおしい人」の
住むからではあるまいか

いにしえの人々よ
それにまちがいあるまいか

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第50号 2001年12月15日発行


「白く見えても」

裸の木々

凍えた遊歩道

これでもかの北風

隣で歩くあなたの

白く見えても

暖かい声

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン 第49号 2001年12月5日発行


「小指」

田んぼの土が染み込んだら

こんな色の肌

そのどこかの親父の

サンダルを履いた指は4本

深爪の周りが白っぽく

隠れた小指は人生

ガソリンを補給した原付のギヤを

ロー セコ サード

で 見えなくなった

夜の道路のサンダルに

親父は隠れて見えない小指

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン第48号 2001年11月28日発行


「 冷ややかに何も無いそら暮れてゆく 」

「 神の筆光る絵の具で夕の空 」

「 秋の空ねこの欠伸と肥ゆる月 」

「 屋根の上じゃれる子猫が月の中 」

「 両端をキュイと吊り上げ笑う月 」

「 群青の空煌々とデスマスク 」

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン第46号 2001年11月14日発行


「月が傘をかぶると雨が降る」

生温かい秋の夜空に

ふやけた月

蒼い顔をしている


まつげを伏せた瓦屋根の下で

てるてる坊主

重すぎる祈りに

首を吊っている


電話の声に問いただせば

第一子を流産したとか


月が傘をかぶると雨が降る


何もしてやれない

何もしてやれないのだから

せめて泣き止むまで

この膝小僧を

抱きしめてやらねば

なるまい

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン第45号 2001年11月7日発行


「押し花」

心に重石の人生

ひょっこり と現れた

昔の恋が押し花

その色鮮やかさに

ハッとする

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン第44号 2001年10月31日発行


「貝のペンダント」

ただ
貝のペンダント

あなたがくれた
わたしの海

山に育って
海を知らない

あなたが海

波は
電話のあなたの声

波にわたしは
ゆらされて

ただ
貝のペンダント

抱きしめて
嫁ぎ先まで持ってきた

こっそりないしょで
持ってきた

こわれても
まだ抱いてます

こわれた海を
抱いてます

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン第43号 2001年10月24日発行


「あわせてみる」

うしろから

肩にあごをのせた

あなたの息に

あわせてみる

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン第41号 2001年10月10日発行


「ころころ」

こころのどこかの
まるいもの

ころころ ころころ
ころがって

どこにあるのか
わからない

こころの広さは
どのくらい

ころころ ころがる
ものに聞け

ころころ ころころ
ころがって

どこにあるのか
わからない

むかしの恋も
かどが取れ

ころころ ころげて
いるのやも

ころころ ころころ
ころがして

ころころ 笑う
人になろ

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン第40号 2001年10月3日発行


「なみだの目」

なみだの目
 まばたきもせず ほほをしめし
うす紅いくちびる 
 かたくむすぶ
ふうわりと
 風が髪をみだし
ぼくの手が
 あなたの 肩にある

すきだよ の
 ひとことで

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン第37号 2001年9月12日発行


 「 風に吹かれておりますよ 」

風に吹かれておりますよ
浜に座っておりますよ
お日様照っておりますけれど
私は胸を抱いてます
きつくきつく抱いてます
ぽっかり空いたこの穴は
めくれて私を消すでしょう
あなたを無くしたその果てに
私も無くしてなるものか
けっして
なくしてなるものか

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン第35号 2001年8月29日発行


「 あなたよ 」

青く透き徹る空いっぱいに
跳ね回る夢と
緑一面に広がる大地より
あふれ出る希望との二つが
あなたの胸に
こんもりと膨らんでいる
しなやかな身体は
風に吹かれるススキのように柳のように
白い肌は
光のつぶつぶがすり抜け
軽快な足は
右と左とで仲良く
追いかけっこしているし
両手は
空気の隙間にたわむれる蝶のよう
おまけにあなたの笑顔からは
ヒメジオンの香りする幸せが
こぼれている
あなたよ
明るい白日の光の中で
さらに まぶしく
まぶしく

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン第34号 2001年8月22日発行


「 熱帯魚 」

  わたし

  美しくないし

  おしゃれもヘタだし

  歩き方も変だし

  熱帯夜に

  泳げないし

【Write-Up】文芸サイト応援マガジン第33号 2001年8月15日発行


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